「日本人に愛されるウイスキーをつくる」といっても、ウイスキーの熟成には何年もかかります。できあがるころにはどのような味が好まれているのかもわかりません。そんなわけで、サントリーではいろんなモルト原酒を造って対応しようと取り組んでいるそうです。

前の記事でも紹介したように、ポットスチルだけでもさまざまな形を使い分けていたのは、このためだったのですね。

ウイスキーの貯蔵庫

ウイスキーの貯蔵庫

もちろん簡単なのは、ブレンドに足りないものがあれば、海外を含む他の蒸留所で造られたモルト原酒を利用することなのですが(他ウイスキー会社では普通に行っていることです)

サントリーがそれをよしとしないのは、「ジャパニーズウイスキーを造る」という原点があるから。創業者から続く伝統なのですね。

とは言え、答えが出るのは早くても数年後という世界。ウイスキーってほんとに時間を贅沢に使う生き物です。

熟成4年目のウイスキー

熟成4年目のウイスキー

そうそう、「ウイスキー=時間」といえば、この樽もそうなんですよ。

下の写真はサントリーがオリジナルで樽材に使っているミズナラですが、使い始めたころは期待どおりの熟成にならなかったのだとか。

ミズナラの樽

ミズナラの樽

それでも長期貯蔵に利用することで、伽羅の香りとも、白檀の香りともたとえられる独特の熟成香を醸すようになり、日本ならではの貯蔵樽となっていったというんですから不思議。樽って成長するものなんですね。

最初の数年で、「ああ、だめだこの樽」とかいって使うのをやめてしまっていたら… 今ごろは「響」も「山崎」もなかったわけですから、ウイスキーに流れる時の流れには普通の感覚では計り知れないものがあるようです。

それから、よく見ると中にはこんな樽も…。

1924年原酒の熟成樽

1924年原酒の熟成樽

一部ひびが入ってわかりにくくなっていますが、鏡板のところに「192…」って書いてあるのがわかります? この樽、正真正銘、1924年に使われていた熟成樽なんですよ。まさに「ウスケ」と呼ばれた当時にウイスキーを生み出していた樽です。

まさか… 中身は本物のウスケ?

いえいえ、樽の中には現在は別のウイスキーが入っています。当時の中身は瓶に納めて大切に保管してあるそうですよ。

というのも、樽の中に入れっぱなしにしていると、天使が分け前として持っていってしまうのです。

天使の分け前

天使の分け前

上の写真は4年熟成の樽と12年熟成の樽の中身を比較したものです。たった8年の違いでずいぶん減ってしまうんですね。もし80年以上前の当時のウイスキーがそのまま入っていたら、樽の中は空っぽになってしまうというわけです。

そしてウイスキー樽は乾燥が大嫌い。そのままにしていると収縮して水漏れを起こしたりしてしまうので、空のまま置いておくことはしないのだそうです。

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